外反母趾|clila疾患情報

記事要約

【目次】

1.外反母趾とは
2.原因
3.症状
4.診断
5.治療
6.予防・対策(トレーニング)

 

1.外販母趾とは

 足の親ゆび(母趾)の付け根の内側が突出し、母趾が「くの字」状になった足の変形のことを外反母趾と呼びます。男性に比べ女性に多い傾向があります。

 

2.原因

 生まれつきの足の形によるものもありますが、多くは履き物や加齢による影響によって生じるとされています。足先の細い靴、ハイヒールが原因になりやすい履き物としてあげられます。加齢による影響としては、肥満、筋力低下が挙げられます。

また、関節リウマチなどの疾患によっても二次性の変形を起こすことがあります。

 

3.症状

一般的な症状として、

  1. 母趾の内側の突出した部分が靴に当たることによって生じる痛み
  2. 足の裏に胼胝(べんち:いわゆるタコ)ができ、ひどくなるとその部分の痛み
  3. 足の疲れやすさ
  4. 変形がひどくなると母趾が隣の足趾を圧迫し、第2、3足趾の変形、痛み

母趾の痛みの程度:突出部分を指で押すと痛む、靴を履いた時に痛む、靴を脱いだ状態でも痛むに分けられます。

 

4.診断

正確な診断は足部のX線撮影で行います。

外反母趾角(母趾の骨軸と中足骨のなす角)が20度以上で外反母趾と診断することが多いです。

 

5.治療

保存的治療

足の筋力で足趾を広げる運動、足趾でのグーチョキパー運動といった運動療法に加え、土踏まずを高くした足底板(靴の中敷)や変形矯正装具を用いた装具療法があります。



 

手術治療

変形が進行し、痛みのために歩行がしずらく日常生活が困難になると状態では手術を要します。

広く一般的に行われている術式は、骨切り術と言って中足骨を切って変形を矯正する方法です。

 

6.予防・対策(トレーニング)

靴選び:幅の狭い靴、ヒールの高い靴は外反母趾の発生に影響するとされています。これらを避けることは重要です。また、足底のアーチをサポートする中敷を使用することも有効です。

運動療法:治療法で紹介した足の筋力で足趾を広げる運動、足趾でのグーチョキパー運動は予防として有効です。また、床に広げたタオルを端から足趾で手繰り寄せる運動(タオルギャザー)も外反母趾の発生に影響する筋肉を鍛え予防につながります。

 

上野 ゆかり 整形外科医  2003年国立大学医学部卒業。整形外科医として大学病院、地域基幹病院にて臨床経験を積み、小児から高齢者まで幅広い年齢層に対応。家族の仕事により移住したフィリピンにて、邦人に対する医療アドバイス、健康診断フォローアップ事業を開始。現在はドイツ(フランクフルト )にて医療・健康アドバイザーとして活動する傍ら、医療相談、オンライン診療などで臨床活動を継続中。