ジベルばら色粃糠疹とは|clila疾患情報

記事要約
【目次】
1.ジベルばら色粃糠疹とは
2.原因
3.症状
4.診断の方法
5.治療
6.鑑別診断
1.ジベルばら色粃糠疹とは
主として20〜30歳代の成人に多く、小児にみられることもあります。
一過性の炎症を伴う角化症のひとつです。
腹部を中心に突然に赤い発疹が出現してきます。派手な発疹が急に出現するので驚くこともありますが、その特徴的な発疹から視診で診断を行うことがほとんどであり、自然に消退するので心配はありません。
2.原因
HHV6,HHV7などを含むウイルス感染症との関連も指摘されていますが不明です。
3.症状
1)初発疹
発疹は特徴的です。最初に比較的大型のはっきりした赤い発疹がひとつ出現することが多く、これはヘラルドパッチと呼ばれ、本症の2/3みられます。主に体幹に2~5cmの卵円形の紅斑で、辺縁に環状に鱗屑を伴います(襟飾り状)。淡紅色で中央はやや退色してみえることもあります。
2)特徴的な皮疹
初発疹ののち7〜10日後に、急激に紅斑が出現します。主には体幹に径1~2cm程度までの卵円形、大小不同で、卵円形の長軸は皮膚の割線方向にほぼ一致しているが、背部ではクリスマスツリーのように見えます。四肢にも出現することがありますが、大腿や上腕までで、それより末梢にみられることは通常ありません。
3)経過
全身状態は良好です。痒みはあっても軽度で、全くないこともあります。通常1~3か月で自然治癒します。人に感染することはありません。
4.診断の方法
上記の特徴的な経過と症状から臨床的に診断します。皮膚生検の病理組織学的所見は非特異的であり、診断にはあまり有用ではありません。
知らないと想起することは難しく、派手な皮疹のため、きちんとした説明ができないと不安を与えてしまうことになります。
5.治療
対症療法が主体です。ステロイド軟膏の外用、抗アレルギー剤の内服など、かゆみがある場合には用います。皮疹が高度な場合には、UVB照射なども用いられます。
6.鑑別診断
- 梅毒性バラ疹:鱗屑はすくなく、手掌や足底にも出現します。血清梅毒反応を検査します。
- 乾癬:鱗屑(紅斑の上に付着するカサカサしたもの)が銀白色、とると点状出血(アウスピッツ現症)、
- 薬疹:類似の症状を呈することはあるので、薬剤摂取歴は必ず聞き取ります。
永井 弥生 皮膚科医 皮膚科医として群馬大学病院准教授まで務め、豊富な経験を持つ。その後、医療安全担当者として大きな問題となった医療事故を発覚させ、3年半に渡って担当。医療者と患者の間のコンフリクト(苦情・クレーム・紛争等)対応の第一人者として、講演や研修などを行う。2017年オフィス風の道を立ち上げ、医療者と患者を繋ぐための活動を開始。皮膚科医としても群馬県内の病院にて診療している。